”キレイ”な愛
嘘でも、何も無かった、他に男なんていない、と聞ければ、心休まるのだろうか。


「涼。
 何、怖い顔してんだよ」

「別に」


思わず考えていたら、顔に出たらしい。

涼は再びポスターカラーを塗り始める。

明日は文化祭で、サッカー部としての準備に追われていた。


「これ、今日中に終わるのかよ」

「無理だろーな。
 誠の家のガレージが使えるらしいぜ。
 下校時間ぎりぎりまでやって、移動だって」


誠の家は自動車整備工場だ。


「それって徹夜ってことかよ」

「だろー」


涼はちらりと信二を見た。

徹夜になりそうだというのに嬉しそうだ。
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