”キレイ”な愛
「まあまあじゃない」


涼は何気なく答えて、カラーペーパーをボードに貼った。

綺樹は・・・。

年は変わらないが、高校生とは見えない。

そして“外”の匂いをまとって帰ってくる。

使っているボディークリーム、煙草、コーヒー。

首筋の産毛が逆立つ感触がして、なんとなく携帯の時計を見た。

いつも帰ってくる深夜の時間には、戻れそうだった。

でもなんだか電話をした方がいい気がして立ち上がった。

ガレージから外に出てボタンを押す。


「おれだけど」

「ああ、なに?」


さらりとした声。

綺樹の声は、聞くといつも胸にすっとしみる。
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