”キレイ”な愛


綺樹はソファーに横たわり雑誌をめくっていた。

こんな贅沢な時間の過ごし方は、実に久しぶりだ。

不意に部屋に備えられているモニターがついた。


「こんにちは、ミズアヤナ。
 ご機嫌はいかがかな」


綺樹は鼻で笑った。

窓もなく、防犯システム管理の白い壁の部屋にずっと監禁されていて、その質問
は愚問だ。


「なかなか双方の条件が一致しないが、今日はもう一ついい条件をつけられそうでね」


何が双方の条件だ。

一方的に、ダバリードを辞めて、ここで働けじゃないか。

しかもこの頭の中だけ欲しい。
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