4th.Saudade
*序
赤い髪に、金のネックレス。
人目見た瞬間、関わりたくないと思った。
もともと男子が苦手なあたしは、すぐに回れ右をして、引き返そうとした。
するとその先客は、あろう事かあたしの右手を掴んだ。
音楽を聴いていたらしく、両耳のイヤホンをはずしている。
もちろん、あたしの手は掴んだまま。
「離して下さい」
凛とした口調で言った。
こういう奴、苦手。というより嫌い。
軽そうで、いかにもちゃらちゃらしてる奴。
「サボるんでしょ? 一緒にサボろうよ」
相手は人懐っこそうな顔をして言った。
笑った顔は、意外にもまだ幼かった。
「得体の知れない人とサボるくらいなら、授業出ます。
離して下さい」
多少の失礼は承知の上だ。
こんな人と関わりたくない。
「俺ら、同じクラスだよ? 佐川梨乃さん」
やっと手を離してくれた。
え? 同じクラス?
そうだったっけ……。
「俺、あんまり授業出てないけど、顔ぐらい覚えておいてよ。
クールビューティな、佐川さん」
「何、クールビューティって」
「クラスの男子が言ってるよ。綺麗だけど無口だって」
……失礼な奴!