4th.Saudade

夜道を、二人で歩く。
……なんか妙な感じ。

「梨乃、真面目な話していい?」

「祐が真面目な話なんて出来るの?」

「ひでぇ!!」

こんなやりとり、中学の時もした気がする。

祐はいつもの笑顔を消して、本当に真面目な顔になった。

その瞳に堪えられなくて、あたしは俯いた。


「お袋、ずっと梨乃の心配してた。1年の時は違うクラスで、ちょっと疎遠だったじゃん?
でも、俺もお袋も、ずっと梨乃が心配だったんだ」


そこまで言われると恥ずかしくなる。
祐もおばさんも、あたしを気にかけてくれてたんだ……。


「だから、前みたいにうちにおいで。
あんな寂しい家に、帰らなくていいんだよ」


祐……。
あたしは中学の時から、あんたに頼ってばっかりだね。

「……ありがとう」

珍しく、素直に言えた。

祐は少し驚いたけど、いつもの優しい笑顔で、言った。


「梨乃を、一人にしたくないから」


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