4th.Saudade
夜遅いからか、祐はいつもよりあたしに近いところを歩いている。
それも、車道側。
バカなんだか紳士なんだか、よくわかんないやつ。
「そういえばさー」
「何?」
「祐のすきなひとって、誰?」
実はひそかに気にしてた。
朝、瑞希と祐が話してたこと。
だってこんなところすきなひとに見られたら、誤解されちゃうじゃん。
「あー……なんでこのタイミングで聞くの?」
祐は明らかに焦ってる。
嘘つけないタイプだからね、こいつ。
「で、誰よ」
「何で梨乃はそんなに知りたいわけー?」
はぐらかそうって魂胆か。
あたし相手にそんなの通用するわけないじゃん。
「こういうとこ見られたら、誤解されるじゃん」
「誤解されていいのになぁ」
……は?