4th.Saudade

声をそろえて「いただきます」と言って、箸をつけた。
天ぷらとから揚げ、サラダに肉じゃが。
どれも最高と言えるほどおいしかった。

「相変わらずおいしいです」

「まぁ梨乃ちゃんたらやぁねぇ。何も出ないわよ!」

そう言いつつ、おばさんは上機嫌。
祐もいつも通りにこにこしている。

いつも通り、おばさんと祐のテンションに押し切られる形で食事が終了した。
二人とも、本当によく話すなぁ……。

食べ終わって、リビングで雑談する。
と言っても、おばさんと祐の話に相槌を打つ程度だけど。

そうこうしていると、もう夜9時半を回ってた。
あたしが帰ろうとすると、後ろから祐が「送る」と言った。

「いいよ、近いし」

「駄目だって。危ないじゃん」

何とか辞退しようとしたが、おばさんが「送りなさい」と言ったせいで、結局は送ってもらうことになってしまった。

「夕飯、とてもおいしかったです。ありがとうございました」

「あたしも梨乃ちゃんが来てくれてうれしかったわ! またいらっしゃいな」

「ありがとうございます。お邪魔しました」

そう言って、祐と二人で、祐の家を出た。

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