4th.Saudade
「送ってもらっちゃって、ごめんね」
「全然! もともと送る気だったし」
やっぱり隣に男子がいると、心強い。
……祐でも、いないよりはね。
「梨乃、本当、いつでも来て良いからね?」
「ありがとー」
祐もおばさんも、心配してくれてるのが痛いほど伝わってきた。
あたしがいつも家に一人ぼっちだから……。
「なぁ、梨乃」
「ん?」
いつもバカ面してる祐が、真面目な顔になった。
話すときはいつも相手の目を見て話すのに、今の祐は、ただ前だけを見てる。
「俺、頼りないかもしれないけど、何かあったらすぐ言ってね?
梨乃は相談とかあんまりしないタイプだからさ」
「突然、どうしたの」
「……言いたかっただけ!」
そう言うと、祐はすぐにまたいつもの優しい笑顔になった。
月明かりに照らされた祐の顔が、妙に頼もしく見えた。