4th.Saudade
無口っていより、男子が嫌いなんだ。
まぁ女子の友達も少ないけど……。
「とりあえず、隣座ってよ」
そう言ってそいつは左にずれた。
少し迷ったけど、あたしはそのまま立っていた。
見ず知らずの男子の隣に座るなんて、意味がわからないし。
「佐川さん、男苦手?」
「嫌い」
あたしは即答した。
気を悪くするかな、と思ったけど、そいつはおもしろそうに笑っていた。
「俺のことも、嫌い?」
「少なくとも、タイプじゃない」
「ひっでぇー!」
相変わらずそいつはおもしろそうに笑っていた。
そういえば、男子とこんなに話すの、久しぶりかも。
こんな派手な奴が同じクラスだっていうのもびっくりだし。
「佐川さん、俺と友達にならない?
俺、芹沢葵。アオイって呼んで」
それが葵との出会いだった。