4th.Saudade

無口っていより、男子が嫌いなんだ。
まぁ女子の友達も少ないけど……。


「とりあえず、隣座ってよ」

そう言ってそいつは左にずれた。
少し迷ったけど、あたしはそのまま立っていた。

見ず知らずの男子の隣に座るなんて、意味がわからないし。

「佐川さん、男苦手?」

「嫌い」

あたしは即答した。
気を悪くするかな、と思ったけど、そいつはおもしろそうに笑っていた。

「俺のことも、嫌い?」

「少なくとも、タイプじゃない」

「ひっでぇー!」

相変わらずそいつはおもしろそうに笑っていた。
そういえば、男子とこんなに話すの、久しぶりかも。

こんな派手な奴が同じクラスだっていうのもびっくりだし。


「佐川さん、俺と友達にならない?
俺、芹沢葵。アオイって呼んで」


それが葵との出会いだった。

< 2 / 52 >

この作品をシェア

pagetop