4th.Saudade
「一ヶ月くらい経って、葵って呼んでくれたのはうれしかったわぁ」
「呼ばないと毎日家まで着いてくって脅したの誰だっけ?」
「二ヶ月くらい経って、アドレス教えてくれた時は泣きそうだったね!」
「教えなきゃ毎日家まで迎えに行くって言ったの誰だっけ?」
「三ヶ月くらい経って「もういいから」
面倒くさくなって、葵の話を中断させた。
葵はよくわかんない人だけど、優しいってことは知ってる。
クラスになじめなかったあたしに気を遣ってくれたんだろうな。
「瑞希がやきもち妬いてさ。あれには焦ったね」
「あー……」
葵があんまりにもあたしに付きまとうから、瑞希が拗ねてたっけ。
でもその時は知らなかったんだ。
まだ、何も。
「夏に、瑞希に祐をとらないでって泣かれた時、初めて付き合ってるの知ったんだよ」
「そうだった。瑞希もさー重要なこと言ってないんだもん、笑える」
まぁあたしは恋の話が苦手だから、瑞希が言うタイミングがなかったんだろうけど。