4th.Saudade

家へ帰ろうとして、教室から出る。
祐があわてて追いかけてきた。

「ねぇ梨乃、どういうこと? 俺何かした?」

「……」

すきなひと教えてくれないから拗ねてる。
なんてガキっぽいこと、言える訳ないじゃん。

「梨乃……」

そんな悲しそうな顔しないでよ。
あー、もう!

「なんでもないから、気にしないで」

「でも俺何かしたなら謝るよ」

「別に何もしてないし」

「じゃぁ何で怒ってたの?」

あー……もう面倒くさいな。
適当にあしらおう。あたしの特技だからね。

「すきなひと、由美子ちゃんでしょ」

「……え?」

祐は文字通り『間抜け面』をした。

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