4th.Saudade
*春、片思い
4人組み
遅刻ぎりぎりに行くと、教室にはもうほとんどの生徒がいた。
2年生になってクラス替えをしたから、みんな友達作りに励んでいるんだろう。
友達作りか……。あたしにはほぼ無関係だな。
「梨乃ー! おはよう!」
そう言って、瑞希が駆け寄ってきた。
瑞希は高校に入って出来た、唯一の友達。
背が小さくて、目がくりくりしてる、いかにも女の子らしい子。
あたしとは正反対。
ちょっと感情的だから、面倒くさい時もあるけど。
「おはよ」
自分の席に荷物を置く。
机の前に、瑞希がにこにこと立っている。
「……どーしたの」
「あのね、クラスに由美子ちゃんいるでしょ? その子がね、梨乃と仲良くなりたいって!!」
ユミコチャン……。
ああ、あの優等生タイプの子か。
教室を見渡すと、少し不安そうに『ユミコチャン』がこっちを見ていた。
別にあたし、そんなに怖くないんだけど……。
瑞希は友達が少ないあたしに気を遣って、この仲介役を買って出たんだろう。
瑞希の顔を立ててやるか。
「あー、いいよ」
「本当? 由美子ちゃん呼んでくるね!」
朝から瑞希はテンション高いなー。
低血圧のあたしには、まね出来ない。