4th.Saudade
夕方の通学路を二人で歩く。
何か祐、機嫌よさそう。鼻歌歌ってるし。
……音痴だけど。
「何で機嫌いいの」
「え? 梨乃とまた話せるようになったからさぁ!」
そんなにあたしと話したかったんだ……。
単純なヤツ。
祐は気付いてないだろうけど、周りの女子のひそひそ話しが聞こえる。
「あ、祐君だよ」
「本当だ! 可愛いし優しいよねー。あの人彼女かなぁ?」
「綺麗だけど、何か性格悪そうじゃない?」
ほっとけよ。
あんたらに性格とか勝手に決められたくない。
第一印象が悪いって、つくづく損だと思う。
祐は相変わらず上機嫌だけど、あたしはテンションが最悪に近かった。
やっぱり祐はモテるんだなぁ……。
「祐、一人で帰って」
「え? 何で?」
「いいから帰って」
素直じゃないあたしは、そう言い放った。
周りに誤解されるの、あたしは気にしないけど、祐にとっては迷惑だろうし。