4th.Saudade

あたしは立ち止まって、祐を睨みつける。
祐が悪いわけじゃないことはわかってる。
でもあたしといて、祐の評判が落ちたりしたら、申し訳ない。

「帰ってって。一緒に帰りたくない」

そう言うと、祐は一瞬泣きそうな顔をした。
でもそれは本当に一瞬で、すぐにいつもの笑顔になった。

「ごめんね、先帰るわ。気をつけてね」

そう言って祐は急ぎ足で帰っていった。

あたしはその背中を、妙な虚無感を持ちながら見送った。


暇だから、高校の最寄駅のそばの公園へ行った。
小ぢんまりした公園で、ベンチとブランコくらいしかない。
取り柄といったら、日当たりがいいことぐらいだろう。

そこへ行くと、古びた木製ベンチに、制服を着たままの男子が座っていた。

「葵!」

そう呼ぶと、葵はこっちを向いた。
少し驚いていたけど、微笑んで手を振ってくれた。
どうやら、本を読んでいたらしい。
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