4th.Saudade

何年も自分を思ってくれてる子を、しあわせにしてあげたかったんだよね?
ずっと一緒にいた分、距離を置きづらくて、付き合ったんだ。

じゃぁ瑞希のことをすきじゃないの?
瑞希はあんなに葵のことがすきなのに。


「瑞希は、葵一筋だよ」

「知ってるよ? 瑞希は俺の、彼女だからね」


そうやって逃げ道を作る。
人には頼らない。
その強さに惹かれたけど、今のあたしにとって、それは苛立つものだった。

瑞希のことがすきじゃないのに付き合ってるとしたら。

あたしは諦めなくていいのかな。

でも瑞希は葵がだいすきなんだよ?
瑞希がかわいそうじゃん。

……葵の考えてることが、わからない。


「意味不明って顔してるね」

だって意味わかんないし。
葵が瑞希をすきじゃないなら、それは瑞希への裏切りだ。
でも少しそれを期待してる自分がいることに気付いていた。


……最低だな、あたし。

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