4th.Saudade

その『ユミコチャン』って子は、黒い長髪をひとくくりにしていて、純・日本人って感じ。日本人形みたい。

「佐川さん、あたし由美子って言うの。よろしくね!」

「あー、うん」

人見知りが激しいあたしは、それしか言えない。
他になんて言えばいいんでろう。
由美子ちゃんは、少し拍子抜けしたようだ。

「あ、えっと……梨乃って呼んでいい?」

「うん」

「あたしは由美子でいいから」

「うん」

会話って難しい……。
なんて話せばいいかわかんない。
由美子ちゃんは、つまらなそうに他のグループへ入っていった。


「梨乃ー……。もうちょっと愛想よくしなよぉ!!」

「しょうがないじゃん。何話せばいいかわかんないんだから」


瑞希みたいに、マシンガントークの子の方が実は話しやすい。
だって自分から話すの苦手だし。

瑞希はちょっとふてくされたようだ。
気分屋だから、ほっとけばすぐ機嫌を直すだろう。

< 4 / 52 >

この作品をシェア

pagetop