4th.Saudade
その『ユミコチャン』って子は、黒い長髪をひとくくりにしていて、純・日本人って感じ。日本人形みたい。
「佐川さん、あたし由美子って言うの。よろしくね!」
「あー、うん」
人見知りが激しいあたしは、それしか言えない。
他になんて言えばいいんでろう。
由美子ちゃんは、少し拍子抜けしたようだ。
「あ、えっと……梨乃って呼んでいい?」
「うん」
「あたしは由美子でいいから」
「うん」
会話って難しい……。
なんて話せばいいかわかんない。
由美子ちゃんは、つまらなそうに他のグループへ入っていった。
「梨乃ー……。もうちょっと愛想よくしなよぉ!!」
「しょうがないじゃん。何話せばいいかわかんないんだから」
瑞希みたいに、マシンガントークの子の方が実は話しやすい。
だって自分から話すの苦手だし。
瑞希はちょっとふてくされたようだ。
気分屋だから、ほっとけばすぐ機嫌を直すだろう。