4th.Saudade
結局たっぷりと時間をかけて決まった注文は、瑞希がミートドリア、祐がさいころステーキだった。
日曜のお昼だが、あたしたち以外には3組の客しかいなかった。
密談にはもってこいの雰囲気。
「あ! 夏休みみんなで海行こうよぉ」
「行こう行こう!」
瑞希の提案に、祐が乗った。
みんなでってことは、あたしも入ってるよね?
面倒くさいな。水着買わなきゃいけないし……。
「祐、どーせ梨乃の水着姿みたいんでしょー?」
葵が茶々を入れる。
祐は「ばーか」と言って葵の頭を軽く叩いた。
別に見たいって思ってもらえる体してないし。
祐があたしにそんな感情を持つとも思えない。
……って違う!
葵と祐の気持ちを確かめるんだったんだ!
祐のすきなひとは後回しにしといて。
「葵は瑞希の水着姿が見たいんでしょ?」
そう言ってみる。
でもそんな小さな意地悪、葵相手では通じない。
「水着なんかじゃ満たされねぇって」
……さすが、話を流す天才。