4th.Saudade

店員さんがそれぞれ注文してきたものを運んできた。
おいしそう。

さっそくみんな食べ始める。
祐と瑞希はやっぱりおいしさに感動しているようだ。

「梨乃はー恋してる?」

あっけらかんと聞いてきたのは瑞希。
思わず飲んでいたジンジャエールを吐き出しそうだった。

すきなのは、君の彼氏だよ。


でもね、もう諦めるよ。


葵といると、確かにどきどきする。
もっと一緒にいたいと思う。
男嫌いなあたしが触れてほしいと思う。

でも、すきっていろんな形があるでしょう?

愛情じゃなくて、友情だと思い込もうとしたら、出来ると思うんだ。

友達の彼氏を奪うなんてことはするつもりはないから。
誰も不幸にしたくないから。

何もしないから。
だから少しだけ待ってて。

葵を、忘れるから。


葵への恋を、棄てるから。

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