4th.Saudade

「あのねぇ。みんなあたしと祐付き合わせたいみたいだけど、祐にはすきなひといるから」

第一、あたし以外の二人はすきなひとが誰か知ってるんでしょ?
なら薦める必要ないじゃん。
そんなことでわざわざ祐の家に呼び出されたのか?

「梨乃ってさぁー、俺のこと全然男としてみてないよね」

「は? 祐男じゃん」

そう言うと、更にため息をつかれてしまった。
どうやらあたしは検討はずれな答え方をしたようだ。
だって祐が男なことぐらい、とっくに知ってるし。

「そういう意味じゃなくて。
 俺を男として意識してないよねってこと!」

「そう? 男友達だと思ってるけど」

この発言に対して、葵がまたしても「かわいそー」とつぶやいた。
何なんだ……。

「梨乃は、祐の言ってる意味、本気でわかってないの?」

瑞希が聞いてきた。
本気も何も、普通に会話してるじゃん。

人間って難しい。

言ってる意味がまるで理解できない!

「じゃぁ逆に、祐の好みは?」

祐に聞いた。

< 49 / 52 >

この作品をシェア

pagetop