4th.Saudade
チャイムが鳴って、先生が入ってくる。
各自自分の席に着く。
「佐川ー」
「はーい」
あたしが返事をしたとき、後ろのドアが開いた。
とっさにみんな振り返る。
あたしも、振り返った。
「すんません、遅刻しました! まだ俺呼ばれてない? セーフ!?」
朝からうるさいお祭り男の登場。
何だかんだで中学校の時からの仲。
唯一の男友達。
「矢野、セーフだが、気をつけろよ」
「すんませーん」
そいつはあたしの席の隣。
あたしと目が合うと「おはよう」と笑いかけてきた。
人懐っこい上童顔。背もあたしと変わらない。
その親しみやすいキャラで、女の子から人気だ。
あたしには関係ないけど。
「梨乃ー。俺昨日、ゲームやりすぎちゃってさぁ」
「ふーん」
「目、痛いんだよねぇ」
「へーぇ」
いつも通り話を流していると、先生がSHRを終わらせ、教室から出て行った。