4th.Saudade

*****

チャイムが鳴り、放課後になった。
あたしは帰宅部で、そのまま帰る。

「梨乃、祐ー!」

後ろから瑞希に声をかけられる。
瑞希は吹奏楽部だ。

「今日、4人で駅前のクレープ屋さん行かない?」

4人とは、もちろん葵を含めて、だ。
葵は帰宅部で、瑞希は今日オフらしい。

「祐、バスケ部は?」

「今日はなし!」

「じゃぁ決まりだね!!」

瑞希はうれしそうに教室を出て行った。
隣のクラスの葵を迎えに行ったんだろう。


祐と二人で待っていると、教室に葵を連れた瑞希が戻ってきた。

「お待たせ! 行こっ」


葵はあたしと目が合うと、にっこり笑った。
あたしはどうしていいかわからず、ただ俯いた。


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