朝の気分
妻が珈琲を趣味にし始めたのは半年前になる。妻がジルの珈琲店に行き始めてからにな る。今まではインスタント珈琲だったが、いつの間にか毎朝、引き立ての珈琲を作り朝に飲むのが普通になった。

　俺はビンの口を開けた。開けたビンから珈琲の独特に匂いが立ち込めてきた。

　いい匂いだな

　珈琲に関しては妻より知識はないが、各豆により匂いの違いは分かった。

『出来たわよ。珈琲』

　妻がポットをおいてテーブルにカップを置いた。

　俺はビンの口を閉め元に戻して椅子にすわった。

　カップから湯気が出ていた。その湯気からまたさっきとは違った匂いが立ち込めてきた。

うーーーーん　

　妻の頷く声が聞こえた。妻はキッチンにもたれながら、先に飲んでいた。

　俺もカップを口にあて飲んだ。口の中から珈琲の味が染み込んで来た。

　　　おいしいな

　さっぱりしており朝にはちょうどよい味だったが、

『どう？』

　妻の顔はやや不満げな顔だった。

『おいしいが・・・・』

『もう少しインドの豆を増やした方がバランスが取れたかも、あなたもそう思わない？』
　と呟きながら妻は珈琲を飲んでいた。俺は少し苦笑いしながら珈琲を飲んだ。
　俺はおいしい珈琲が飲めればいいか妻は少し不満だったらしかった。カップをキッチンに置き近くにあるメモ用紙で書き始めた。

　いつも朝に見る光景だ。寝室にある妻の机には珈琲に関するメモ用のノートと珈琲に関する本が溢れていた。

『ジルが言ったようにやったけど何かが違うのかな？』

　妻は一人ごとを言いながらメモを取っていた。
< 2 / 3 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop