腐りかけに
俺には両親はいなかった記憶がない、物心ついたときは施設にいた。
 施設ではあまり思い出はない、馴染めなかった。ただ漠然と日々だけを過ごしていた。
 この頃から腐り始めていたと思う。
 施設を出たあとは、いつの間にか刑務所を出入りする人生になっていた。
 左脇腹を押さえるのをやめ左手を目線まで上げた。左手は血がベットリとついていた。
 このまま死ぬんだろうな
 俺は考えた。死ぬことは考えたことはない。今までの中でいつ死んでもおかしくないことが、いくつもあった。
 しかし今まで生きていた。
 俺は可笑しくなり煙草を右手で持ち苦笑した。
 走る音が聞こえた。複数だった。俺を追うやつ等がきた。
 ここで見つかるのは、時間の問題か?
 俺は再び煙草を加え拳銃を持った。
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop