腐りかけに
俺は拳銃で男を撃った。男はその場で倒れた。周りにいた男達が、すぐに反応して拳銃を取りだして撃ち返してきた。俺も何発か打ち返して、そのまま反射的に走った。
 すべては終わった。撃った男は妹を薬物漬けにして殺した本人だ。復讐は終わった。しかし俺の心は晴れてない、このようなことをしても妹は喜ぶのだろうか?自分は今まで、妹にはろくにしてやれなかった。ただ自分が腐りかけているのを思い、妹も同じにしたくないから俺はわざと離れた。
 しかし妹は・・・
 路地の入り口から数人の男の足音が聞こえた。俺は拳銃を構えた。 
 妹はろくでもない男を愛して自分を売った。
俺が殴り殺した男と俺には何の差はない。腐りきっていたか腐りかけの違いだけだ。
 俺は拳銃を撃った。向うからも拳銃の音がした左肩に激痛が走っていた。
 腐りかけの俺を妹は心から思っていたのだろう。俺はただその救いを完全に閉ざしていた。それだけが、唯一の後悔だ。
 銃声が何発が鳴り俺は倒れた。
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