恋祭 〜キミと見上げた空〜

「さーてと。何が食いたい?」

{ん〜〜たこ焼きかな?}

手話で伝えた

「了解。お前、補聴器つけてるよな?」

{うん。じゃなかったら、祐一の声、聞こえないよ}

笑いながら
手話で伝えた

一瞬思った

私たちの会話はすべて私が手話で受け答える
こんなとき、声が出せたら・・・と

「そうだな」

{ねぇ。はやくたこ焼き食べたいよ!}

「はいはい。行くぞ」

祐一は後ろを向いて歩いていった

{祐一・・・ありがとう。}

私はこの言葉だけは
口を動かした

なんとなく
声が出る気がしたから

まぁ当然のことながら、声なんか出なかったのだが

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