小さなチョコの大きな恋物語

『柚子!?』


「へ!?」


ゴキブリを追い払うのに必死だったあたしは急に名前を呼ばれてびっくりした。


『へ!?って…』


「陸ちゃん!?どうしたの!?」


陸ちゃんは呆然としている。
後ろから来た男の子も呆然とあたしたちを見た。


『柚子さん…つれていかれたんじゃ…』


『うっさいよ!!あんたのことはもう嫌いなの!!』


まだ隣で携帯に怒鳴り続ける美紀。
元カレがしつこくてしょうがないらしい。


『えぇぇぇぇぇ…』


その場に座り込む陸を今度はあたしと美紀が呆然とみつめる。


「つれていかれたって!?」


『もしかしてあたしが柚子ちゃんを逆恨みして呼び出したとかでも思ったの?』


ようやく電話を切った美紀が笑いながら言った。


『違うわけ!?』


陸はぜぇぜぇ息を切らしている。


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