小さなチョコの大きな恋物語
「柚子ー!!」


暗い上に視界が悪い。


「柚子ー!?」


そのとき向こうの方でガサッという音が聞こえた。

人影が動くのが見える。


「ゆず!?ちょ…待てよ!!」


俺は逃げる影を追った。

柚子にはすぐに追いつき、腕をつかむと立ち止まった。


『ゆ…
「陸ちゃん。」


柚子が前をむいたまま言う。


ごめんね、心配かけて…すっすぐ戻るから……」


その声は今まで聞いた中で一番苦しくて、一番悲しい声だった。


俺は何も言わずに後ろから抱きしめた。


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