小さなチョコの大きな恋物語
「で、水川愛海?」
しばらく沈黙。
『そうだよ。よく分かったな、お前』
「どこがいいと思うんだよ?」
『言ったじゃん。可愛いところ。』
「ゆず姉だって可愛いだろうが。」
『え!?陸、急にどうしたんだよ。』
急にムキになった俺に驚く。
兄貴は教科書を閉じ、椅子を回して俺の方を向いた。
『柚子はさ、ただの友達だよ。幼馴染ってだけじゃん。ずっとそうだったろ?』
心の中が安心ともどかしさで一杯になった。
「ゆず姉が兄貴のこと好きっていったら?」
『それは絶対ないから。』
兄貴は笑いながら机の方を向いた。
なんとなく、殴りたくなった。
ぼっこぼこにしたかった。
『そーいえばお前枝チョコだって?』
「は?」
『柚子が枝チョコみたいに小さくて可愛いだってさ。』
「くっそ……枝チョコなめんなよ!!」
兄貴が言い終わる前に部屋から飛び出した。
自分の部屋に駆け込む。
ちょうどそのとき携帯の着信音がなった。