小さなチョコの大きな恋物語

「ん?なんて?」


陸はパッと顔を上げて笑った。


『やっぱなんでもない。ゆず姉の用事は?』


「ああ、今日教室来てたでしょ?あの時近くにいた子がね、陸ちゃんのメアド知りたいっていってるんだけど…教えていいかな?」


『ん…いいよ……』


陸は下を向いて答えた。
陸の態度はおかしかった。


「陸ちゃん?なんか悩み事?あたしでよかったら話聞くけど…」


陸の目線がゆっくり上がる。
芽が合うと、真剣な瞳になった。
まっすぐ大きな瞳であたしのことを見る。


「どう…したの?」


陸は何かを言おうとしてまた口をふさいだ。
また沈黙。


「陸ちゃん…?」


『ゆず姉はさ、ある人がゆず姉のこと好きでいても、ゆず姉がその人のこと好きじゃなかったら付き合わない?』


答えに迷った。


「どうしても好きな人がいたら付き合わないよ。」


『今そんな人、いるの?』


「………うん。」


陸はあたしから目線を反らした。

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