ジルとの対話

郷愁

ノスタルジアそれは黄金の夜明けと過ぎ去る日の出と夏の正午。

ジルはスターリンの帰りとアンナの決心に出会った。また、彼らの様子から事の顛末を推測した。
「キースは信じなかったんだね。」
ジルの声が、ロビーに響いた。
「我々が悪ふざけをしているのだと、思ったようで、追い出されてしまった。」
スターリンが呟くと、ジルは腕組みをした。
「無理もないさ。」
黒猫ティティの足音がパタパタと響いた。
ジルはジルの世界で、彼がそうであるように、キースもまたキースの世界でしか生きる事ができない。光は影に一歩近づく毎に旋回を始め、まるで犬が自らの尾を追いかけるよに、
回り続ける。ならば、犬は自らの尾に噛みつくことができない事に気が付くべきなのだ。

「アンナ、君の助けがいる。」
アンナは全てをジルから聞き、うなずいた。
「世界を救うためならなんでもしたいわ。」
世界を救うとは、時に、拘りやポリシーを捨てることなのだ。


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