【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ参





 千秋さんがなんて答えたかは知らない。



 遠すぎて聞こえなかったから。





「十一時です」




「それっていつも同じか?」







 すると千秋さんがやってきて。





「いつもほとんど同じです」



「千秋、昨日の交代の時、明菜が来る前に持ち場を離れたか?」





 千秋さんは、あ、と言って



 口を覆った。





「明菜がなかなか来ないんで、呼びに行ったんです」






< 210 / 321 >

この作品をシェア

pagetop