【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ参
皆、元気に振る舞って、私に隠してる。悲しい気持ちを、隠してる。
「…なんで、嘘つくんですか…?」
私の言葉にその場の空気が凍りついた。
「何のことだ」
奏太さんの声は氷のように冷たい。一瞬、怖かった。私はどうにか心を落ち着かせた。
「瑛太さんのこと。本当は、悲しいんでしょ?なんでそんな笑っていられるの?」
私が言った途端。
皆の顔から笑顔が消えた。
「な、何言ってんの、花蓮ちゃん!」
龍太さんが慌てたように。だけど、口調からはっきりわかった。私の言ったことは、間違ってない。皆、隠してるんだ…。