【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ参
奏太SIDE
俺はため息をついた。
まだ、あの戦いのときのことが脳裏にくっきりと鮮明に焼き付いている。
娘にナイフを突き刺した、七帆。
地面に飛び散った、鮮血。
「くそっ…」
俺は目を閉じた。
目を閉じたら閉じたで、今度は花蓮の悲鳴と、瑛太の死に顔が浮かぶ。
「…瑛太…」
生まれたときからずっと、一緒にいた弟が、俺の恋人を庇ってそのせいで死んだ。その事実が焼印のように俺の胸に焼き付いている。