魅惑のくちびる

「その子が璃音たちの噂を知ったら……璃音、狙われちゃうかもね!」

……人の身に降りかかるかもしれない恐ろしい話をとても楽しそうに話す由真は、将来絶対に井戸端会議の議長を務めるに違いない。

「もう。冗談抜きよ。勘弁してよー」

――噂に振り回されるのは、もうゴメンだ。




アルコールに強くないわたしたちは、3杯で既に上機嫌になり、テーブルの上の料理を食べ終えた時点で店を後にした。

「後ろ、気をつけて帰りなよ!」

「もう、そんな恐いこと言わないでよ。」

帰り道が反対のわたしたちは、手を振って店の前で別れた。
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