魅惑のくちびる
――いつもならそうなるハズだった。
顔を見る限り……今日の雅城には、そんな様子はないみたいだ。
「最近、よく出かけるなぁって思ってたけど。
――まさか、松原とできてるなんてなぁ。
さすがのオレもそれは想像しなかったよ……。
ホント恐ろしいや、璃音も松原も。」
耳に入ることを恐れていた、会社での噂。
由真が知らないからと言って、雅城も知らないとは限らないって……
予想してなかったあたしの考えは、ホント笑いぐさもいいとこだ。