魅惑のくちびる

最初の日に待ち合わせたコンビニ。

こないだと今日とでは、同じ待つ時間でも随分と気持ちが違う。

窓に映るわたしの姿。

こないだはメークしたてで、気分も高潮していたせいか頬のあたりが赤みを帯びていたけれど、今日は泣きはらしてメイクもボロボロ、目の辺りがほんのりと赤くなっている。


いつもなら人の通りが多いこの道も、さすがにそろそろ日付が変わろうとしているこんな時間はひっそりと静かだ。

真っ暗な中に煌々と光るコンビニの明かりがまぶしく感じていたけれど、遠くからスピードを出して走ってきた黒いスポーツカーはすぐに松原さんだとわかった。

そのままわたしの前まで走って停止すると、ウィンドウが静かに下がって、少しラフな格好をした松原さんが優しい微笑みを向けた。


「こんな遅い時間に、ごめんなさい……」

「話はすぐに聞くから。まぁひとまず、乗って」

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