魅惑のくちびる

不思議なほど、自然に身を任せていた。

拒むでもなく、求めるでもなく、松原さんにすべてを委ねる。

そうすることで、自分の存在意義を感じていたかったんだと言い訳するほどの余裕は、頭の中にはなかった。


あらわになった胸元に顔を埋める松原さんを受け入れているかのように、髪の毛に指を絡ませていた。

まるでわたしのことは何でも知っているかのように、一番感じると思う場所も松原さんにはお見通しで、次から次へと探り当ててゆく。

腰のあたりを優しく撫でられ、わたしの身体がびくん、と大きく反応すると、それに気づいた松原さんは頭を静かに撫でてくれた。


「生まれたままの姿の璃音ちゃんは、本当に天使みたいだ……」


いつしかわたしは、わずかな面積の布一枚で覆われているだけになっていた。

Tシャツを脱ぎ捨てた松原さんの細身の身体に、少しだけついた筋肉が男性の魅力を感じさせる。

その腕で、わたしをひょいっとたやすく抱き上げると、そのままベッドへと運んで行った。

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