魅惑のくちびる

気付けば、1時間も経過していた。

わたしたちは時も忘れて愛を求め合っていた――。

ガラスを打つ雨の音は幾分静かになったけど、さっきまではまるで、わたしたちの激しさのようだった。


お互いを愛おしんで、しっかりと背中を抱きしめながら何度もキスを交わし、何度もお互いの存在を確かめ合っていた。

幾度となくわたしの様子を気遣い、敏感に変化を感じ取りながら、それに合わせて愛情を注いでくれる。

松原さんのすべての行為はわたしのことを思い、理解してくれてのことだと改めて感じた。


すっかり静かになったベッドの上で、わたしは松原さんの腕枕に包まれ、穏やかな心地よさに浸っていた。

身体に優しく触れる柔らかなシーツは、火照りを静かに冷やしてくれる。

枕からは、松原さんと同じにおいがした。

松原さんはわたしの肩に優しくタオルケットをかけながら、おでこ、まぶた、鼻、頬、唇へと、何度もキスをした。

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