魅惑のくちびる
「こんなことしたオレも、十分同罪だろう。
璃音ちゃんが自分を責めている以上に、ずるい男さ。
だから……もう、自分を責めないでよ。
璃音ちゃんが自分を責めるたび、オレはものすごく胸が痛むんだ」
言葉を選んでみるけど、ぴったり合うものが見つからない。
わたしはずるいんだって、それしか思い浮かばないから――。
「愛し合っている間だけは、オレを思って感じてくれてる。
そう思って楽になろうとしてる、オレが一番ずるいんだ……。」
人差し指が、ツゥーとわたしの唇を行ったり来たりする。
あまりにくすぐったくて、思わずパクっとくわえたら、松原さんは細い目をさらに細めて笑顔を作った。
「それ、反則技。超かわいいんだけど!
そんなことされたら……もうどうなっちゃうか知らないよ?」
両手首を軽く握りしめ、松原さんはさらに頬から首筋へとキスの雨を降らせた。
松原さんのやわらかなぬくもりが、どんどん染み入るのがわかる。
葛藤を抱えながらも……手放したくない時間を過ごしているということを痛いほど感じていた。