魅惑のくちびる
……一体、どこでどう間違えたんだろう。
わたしたちの愛は揺るぎないものだと思っていた。
雅城があんなにヤキモチを妬いてくれるのは、わたしを好きだからこそだと受け止めていた。
なのにこうして今ここにいるのは……
わたしが弱いから?
雅城と初めてキスをした日は嬉しくて、このベッドをゴロゴロと何度も端から端へ転がりながら、思い出し笑いをしていた。
チェストの上には、初デートで買ってもらった小さなスヌーピーのマスコットが飾ったままになっている。
今はもう、それもすべて思い出か――。
枯れたと思っていた涙が、まだ出てくることに驚く。
ひとしずく、流れ落ちた涙が耳の中に入って落ち着かない。
ツキン……。
涙と共に、止んだはずの頭痛がまたこみ上げてきた。
一日や二日じゃ、雅城との時間を消すことなんてできないよ――。