魅惑のくちびる

それは……雅城の心配性。

由真に言わせると

「心配性だなんて、美化しすぎだよ。単なるヤキモチ妬きじゃん」

だって。


帰ってきてからの尋問やチェックは恒例だ。


「今日は、誰とランチ?」

「そのスカート、会社で穿くにはちょっと短いんじゃない?」


致命的に嫌な部分だとは思わない。

でも、少し厳しいと思うことは……多々ある。

束縛というほどチェックが厳しいわけでもないし、わたしを好きでいてくれるからこその心配だと思うと、耐えられないレベルではないけど……。


「璃音って絶対マゾでしょ」

そう言って、どっちもどっちだ、と笑った由真には、とてもじゃないけど耐えられないことらしい。

田上さんも由真派だったのかなあ、と思った。

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