魅惑のくちびる
何度謝っても、許されないとわかっている。
だからこそ、簡単にここで謝って本当のことを伝えるのは誠意がない気がした。
「そっか。じゃぁ送ってくよ。」
立ち上がった瞬は、ジーンズに足を通した。
いつものように助手席に座っているだけで、罪悪感で押しつぶされそうだ。
瞬は本当のことを知ったら、何と言うだろう。
どんな表情をするだろう……。
考えるほど、胸はどんどん押しつぶされそうになり、わたしは堪えられずに窓の外に目をやった。