魅惑のくちびる

瞬との時間は本当に楽しくて、わたしを喜ばせようとする気持ちが伝わってくることが、とても嬉しく感じた。

雅城とは対照的でまったくタイプが違う男性。

会社でも、よく比べられる二人。

……でも、実際は本人が一番比べていたなんて。

きっと社内で二人を比較する声も、瞬にとっては耳をふさぎたいことだったに違いない。


だけど雅城は、何も悪いことはしていない。

ただ、まっすぐでちょっと強気で、そして、相当な意地っ張りなだけだ。

瞬が羨ましく思ってしまうようなことも、雅城がやすやすとこなしてしまうのは、努力というより天性のもの。

仕事も、前向きな姿勢も、まっすぐなところも……本人は強く意識してなんていないんだ。


欠点と言えば、実直に人を愛してしまうがゆえに、わたしも自分だけのものでいて欲しいと思う、不器用なところ……。

< 195 / 240 >

この作品をシェア

pagetop