魅惑のくちびる
嫉妬を抑える薬は、雅城しか持っていない。
どんなにわたしが頑張ってみても、次から次へと嫉妬は深くなっていくばかりだと、簡単に想像がつく。
それを今まで、雅城に伝えられなかったわたしももちろん、力不足ではある。
「……オレは、自分に自信がないんだ。
欲張りなんだろうな。他の人が持っているものは、オレが持つものよりすべていいものに見えてしまう。
だから、いつか璃音もそれに気付いて、オレのそばから離れてゆくんじゃないかって……。
おかしいよな、璃音がオレの方を向いてくれてる時には、それを当たり前だと思っているほどの自信があるのに、外部からの不安要因からは守る自信がないんだ」
「……だとすれば、矛先を間違えてるわ。
それは、わたしにぶつけるものじゃない。」
わたしは少しもためらうことなく、厳しい言葉をはき続けた。