魅惑のくちびる
23:最後のくちづけ
「ごめんね……もう、離れたりしないから。」
わたしに触れようとしない雅城の手を、そっと握りしめた。
雅城は、先ほどまでの顔とは別人のような晴れやかな表情になった。
「オレも、病気直すよ……重症の嫉妬病を。
小さいことに嫉妬するんじゃなく、心配されるくらいのかっこいい男にならないとな。」
そうはなかなか、簡単にいかないのは重々承知。
本人の言うとおり、それは重症なレベルだから――。
「ところで……松原とは、もう別れたのか?」
「ううん……別れる以前に、始まりすら微妙な関係のままよ。
傷つけたことをお詫びしながら、明日にでもきちんとすべて話をしてくる。」
「明日……?……あ、うん……。」
「雅城とのことも、伝えていいよね?」
「……そう……だな。うん。……松原の立場になってみたら、少し酷だけど。」