魅惑のくちびる
由真にも早速報告したかったわたしは、暇なのをいいことに、資料整理と嘘をついて商品開発課へと向かった。
わたしたちの資料棚はとにかくいっぱいで、整理がつくまで商品開発課のスペースを間借りしている。
わたしの姿を見た由真は、早速自分も資料整理だと偽り近寄ってきた。
「いいのいいの。今日どうせ課長も北野さんもいないし」
そういえば、新規の大型顧客との懇談会とかで朝から外だと言っていたのを思い出す。
わたしたちは早速、他の人の目を盗みながらの、報告会が始まった。
「もう、璃音ったら……。
薄々、そうなるんじゃないかとは思ってたけどさ、本当に今回ばかりは呆れるわよ。」
「ふーんだ、わかってますー。
でも、今回良く分かったんだ、わたしはやっぱり雅城がす……」
「ストップ! もう言わなくていい!
何度も聞いたってば。耳タコよ。」
口は悪いけど、顔は笑っている。
由真は呆れながらもきっと、わかってくれたんだよね。