魅惑のくちびる

「全くもう、どうしてこういう子って、そういう男の所に戻ってっちゃうのかな。

それか、別れたとしてもまた次にそういうような男とつき合っちゃうの。

あたしからしたら、自分で辛いってわかってるとこに飛び込んでるようにしか見えないけど。」

「……なんか、こないだの雑誌にもそんなこと書いてたなぁ……」

「まぁ、仕方ないけどね。

好きな気持ちって人に操作できるもんじゃないんだもん。

……その代わり、次にゴタゴタしたら承知しないんだからねー!」

「うん。大丈夫。……いつもありがとね、由真」


ついつい、話に花が咲き始めたわたしたちを、商品開発課のお局様がちらちらと伺っているのがわかる。

二人で目を見合わせると、ちろっと舌を出して口をつぐみ、インデックスラベルを貼り付ける作業に集中した。

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