魅惑のくちびる

「大丈夫よ。ちょっとびっくりしたけど、みんな楽しそうだったし、大成功だったんじゃない?」

「オレも、花見の時には盛り上がったと思って満足してたんっすけど……

後からなんだか璃音さんに迷惑かかっているみたいだと知ってから、毎日毎日、謝ろうって思ってました。

でもなかなか改めて言う機会がなくて、今頃になって……すみません。」

「気にしないで。わたし、大丈夫だから。

それより……大成功しちゃったからさ、来年も幹事やれって課長に言われちゃうかもね?」

「えっ!……もう、いいっすよ! マジで勘弁して欲しいっす!」




本当に、何もかも、タイミングなんだ。

あの企画も、今だったらもっと心から楽しめているかもしれない。

みんなに騒がれても、笑って過ごせているかもしれない。


でも、それもこれも……

あのタイミングで、あの企画があったから、今こうしてそんな風に思えているんだと思うと……


やっぱりあれは、抜群にいいタイミングだったのかなぁ、なんて。

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