魅惑のくちびる
「そうか……。良かった。
オレ、もっともっと頑張るよ。
正直言うと今まで、誰かのために自分を変えようなんて思ったこともなかったけど……今は心から誓って言える。
璃音にふさわしい男になるまで、精一杯努力するって。
だから、自信がついたその時には……オレと結婚してくれないかな」
わたしの手を両手で覆うように優しく握った。
その上に、甘いドロップが一気に降り注いだ。
雅城の温かなその温度で、ドロップが溶け出してしまうよ。
わたし、あなたの彼女になって、本当に良かった。
この先、何があるのかは予想もできないし、二人で進んで行くのは前途多難かもしれない。
それでも、今の姿を見ていると不思議と不安なんてわき上がって来ないんだ。
「わたしももっともっと、雅城のこと好きになって、深い愛情を持っていたい。
お母さんになっても、おばあちゃんになっても、二人で顔を見合わせて笑っていられるようなカップルになろうね」
いつまでもお互いを愛し、お互いを高め合う存在でいられたら、という理想を、理想のままで終わらせたくない。