魅惑のくちびる

幾度となくキスしたせいか、雅城のくちびるの上にグロスがほんのりと乗っている。


「くちびるだけじゃないわ。

アイシャドウもいっぱい顔に移って、雅城の顔ごとキラキラしてる」


やけに照れる雅城をさんざん笑った後、もう一度キスをして、顔を見合わせた。


「幸せは二人で育てるんだ。それぞれが幸せなら、二人合わせたら倍以上の幸せになる」


今までは聞きたくてもなかなか聞けなかった嬉しい言葉を向ける雅城が、どうしようもないほど愛しくてたまらない。

これからは、どんな困難でもくじけず乗り越えてみせると、強く心に誓う。




雅城の顔やくちびるに光るラメをぬぐったわたしの人差し指は、まるで二人の未来を示しているかのように、キラキラと美しく輝いていた。




【魅惑のくちびる------完】
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